日本アルプスを代表する山岳リゾート「上高地」。 新緑や紅葉のシーズンは国内外から多くのツーリストが訪れる大人気スポットですが、冬の様子をご存知でしょうか?
「冬の上高地に行ってみたいけれど、行き方がわからない」 「冬もバスは動いているの?」
今回はそんな疑問をお持ちの方へ、冬の上高地へのアクセス・行き方と、知っておくべき冬のリスクについて解説します。 また、もし「冬の日本アルプスの絶景を見たいけれど、冬山登山は不安…」という方のために、より安全に絶景を楽しめるおすすめの代替スポットもご紹介します。
冬の上高地(11月中旬~4月中旬)は「閉鎖」されています
まず大前提として、上高地は冬期(例年11月中旬~4月中旬)、閉山期間に入ります。 この期間中、上高地内のホテル、レストラン、お土産屋さんは基本的にすべて休業。バスターミナルやビジターセンターも閉まっています。
そして何より重要なのが交通手段です。 上高地行きのバスもタクシーも、冬期はすべて運休となります。
つまり、冬の上高地には、一般の観光客は行くことができません。 決して「観光気分」で軽装のまま訪れてはいけない場所へと変わるのです。
それでも行くなら?冬の上高地へのアクセス・行き方
施設が閉鎖されていても、入山自体が禁止されているわけではありません(※入山届の提出が必須)。 しかし、バスが通じている「釜トンネル」の入り口は閉鎖されているため、そこからは徒歩で向かうことになります。
もし、あなたが本格的な冬山装備と経験を持って冬の上高地を目指す場合、アクセス方法は主に以下の2通りです。
1. 飛騨高山・平湯方面からのアクセス
新宿から高速バスで「飛騨高山」行きに乗り、「平湯バスターミナル」で下車します。 そこからタクシー、または松本行きの路線バスに乗り換え、「中の湯」バス停へ向かいます。
2. 松本方面からのアクセス
新宿から高速バス、または特急電車(あずさ)で「松本駅」へ。 松本バスターミナルから高山行きのバスに乗り、約90分かけて**「中の湯」バス停**で下車します。
「中の湯」からは過酷な徒歩ルート
どちらのルートでも、バスで行けるのは「中の湯」までです。 そこから先は、自分の足で歩くしかありません。
- ルート: 中の湯バス停 ~ 釜トンネル ~ 河童橋
- 距離: 片道 約7.5km
- 所要時間: 徒歩 約3時間(雪道の状況による)
暗く長いトンネルを抜け、雪深い林道を数時間歩き続ける体力と精神力が必要です。
【重要】冬の上高地に行く前の警告
「歩けば行けるなら、行ってみようかな」と思った方へ。 冬の上高地は、美しいですが極めて危険な場所です。以下のリスクを必ず理解してください。
1. 氷点下20度の極寒
冬の上高地の気温は、日中でも氷点下になることが当たり前。条件によってはマイナス20度以下になることも度々あります。この寒さは、通常の防寒着では耐えられません。
2. 雪崩の危険
釜トンネルを抜けた先では、雪崩の発生しやすい箇所があります。地形を熟知していなければ、命に関わる事故に巻き込まれる可能性があります。
3. 施設はやっていません
前述の通り、ホテルも売店も営業していません。暖をとる場所も、食事をする場所もありません。 トイレも基本的には閉鎖されており、一部の冬期用トイレが使えるのみです。
必要な装備と条件
冬の上高地に行く場合は、以下の条件が必須です。
- 冬山登山の完全装備(スノーシュー、アイゼン、ピッケル、厳冬期用ウェア等)
- 熟練ガイドの同行、または十分な冬山経験
- 登山届の提出
もしこれらが準備できない場合は、冬の上高地へ行くのは諦めてください。
安全に冬のアルプス絶景を見るなら「千畳敷カール」がおすすめ
「冬山装備なんて持っていないし、雪道を3時間も歩けない…」 「でも、雪化粧した日本アルプスの絶景は見たい!」
そんな方に心からおすすめしたいのが、中央アルプスにある**「千畳敷(せんじょうじき)カール」**です。
なぜ千畳敷カールがおすすめなのか?
1. ロープウェイで標高2,612mへ直行!
上高地のように何時間も雪道を歩く必要はありません。バスとロープウェイを乗り継ぐだけで、一気に標高2,612mの雲上の世界へアクセスできます。
2. 冬でも安全に絶景が楽しめる
ロープウェイを降りれば、目の前には宝剣岳をはじめとする白銀の山々が広がります。駅に直結した展望台やホテル千畳敷から、安全に、そして暖かく絶景を楽しむことができます。
3. 誰でも行ける「白銀の世界」
冬の上高地は選ばれた登山者だけの世界ですが、千畳敷カールは一般の観光客でもアクセス可能です(※もちろん暖かい服装は必要です)。
上高地と千畳敷カールの比較
| 特徴 | 冬の上高地 | 冬の千畳敷カール |
|---|---|---|
| アクセス | 「中の湯」から徒歩3時間 | ロープウェイで一気に到着 |
| 難易度 | 上級者向け(冬山登山) | 初級者~(観光も可) |
| 施設 | 全て閉鎖(トイレ一部のみ) | ホテル・レストラン・売店営業中 |
| 景色 | 北アルプスの山麓 | 中央アルプスの山頂付近 |
まとめ:冬の旅は安全第一で選びましょう
「冬の上高地 行き方」や「冬の上高地 アクセス」を調べている方は、その美しさに惹かれていることと思います。 しかし、冬の上高地は一般の観光地ではありません。プロのガイドツアーに参加するか、十分な装備がない限りは立ち入るべきではありません。
もし、安全かつ快適に、冬の日本アルプスの神々しい景色を楽しみたいのであれば、ぜひ千畳敷カールへの旅行を計画してみてください。そこには、苦労して歩かなくても出会える、一生モノの感動が待っています。
※冬の上高地へどうしても行く場合は、必ず専門のガイド付きツアーに参加し、万全の準備を整えてください。
